相続放棄と生命保険|中小企業経営者が亡くなったときの保証債務と保険の扱い
相続放棄と生命保険|中小企業経営者が亡くなったときの保証債務と保険の扱い
中小法人の経営者が亡くなった場合、相続人には想定外の負債やリスクが及ぶ可能性があります。
特に注意が必要なのが、社長個人が中小企業の借入に関して負っていた連帯保証債務です。
この記事では、こうしたケースで相続放棄を検討すべき理由や、生命保険の扱いについて整理します。
1. 社長が死亡したときの連帯保証債務はどうなる?
中小企業の借入では、社長個人が会社の借入金に連帯保証人として関与していることが少なくありません。
社長が亡くなった場合、その保証債務は相続人に法定相続分に応じて承継されます。
✅ 例:
会社の借入金:5,000万円
相続人:妻・子2人(計3人)
法定相続分に従った負担は以下のとおりです:
相続人 | 法定相続分 | 保証債務の承継額 |
---|---|---|
妻 | 1/2(50%) | 2,500万円 |
子1 | 1/4(25%) | 1,250万円 |
子2 | 1/4(25%) | 1,250万円 |
➡ 各相続人は、それぞれの相続分に応じた債務を負います。
2. 遺産分割で保証債務を「分ける」ことはできる?
❌ 原則:債権者の承諾がなければ無効
たとえば遺産分割協議で「借金は長男がすべて引き受ける」と決めたとしても、
債権者(金融機関など)の承諾がなければ、法定相続分に従った責任が残ります。
被相続人の連帯保証債務は、相続により相続人に法定相続分に応じて分割承継されるのが原則です。
ただし、保証債務の性質や債権者の主張によっては、各相続人に対して大きな返済請求がされる可能性があります。
相続人同士では最終的に法定相続分に応じて負担する関係となります。
3. 誰かが代表して返済するための方法は?
債権者の了承が得られれば、次のような対応が可能です:
① 免責的債務引受(他の相続人を免責する)
- 妻など1人が他の相続人の債務を引き受ける形
- 債権者の「免責的承諾」が必要
- 他の相続人は債務から解放される
② 借換えによる整理
- 相続人の1人が新たに借入をして既存債務を一括返済
- 実質的に債務を集中できる
- 不動産担保などがある場合、登記費用などが発生
➡ どちらも実務的・費用的なハードルがあるため、慎重な検討が必要です。
4. 相続放棄で借金は引き継がない。ただし…
相続放棄を行うことで、最初から相続人ではなかったことになります。
つまり、連帯保証債務を含め、すべての相続財産・負債を引き継がないことになります。
➡ 保証債務から完全に免れるには、法的に相続放棄するしかありません。
5. 相続放棄しても生命保険は受け取れる?
答えはYesです。生命保険の受取人が指定されている場合は、相続放棄をしていても保険金を受け取れます。
生命保険金は「みなし相続財産」として扱われますが、遺産とは区別されるためです。
6. 非課税限度額には注意が必要!
死亡保険金には、以下のような相続税の非課税限度額があります:
500万円 × 法定相続人の数
ただし、相続放棄をするとその人は法定相続人ではなくなるため、この非課税枠の対象外となり、 放棄した人が受け取った保険金は、全額が課税対象となります。
まとめ|中小企業経営者の相続は「保証債務」と「保険の設計」に注意
ポイント | 内容 |
---|---|
保証債務の相続 | 法定相続分に応じて相続される/遺産分割では解決できない |
相続放棄の効果 | 債務を完全に回避できる/生命保険の非課税枠が使えなくなる点に注意 |
生命保険の活用 | 相続放棄しても保険金の受け取りは可能/納税・生活資金対策に有効 |
中小法人の経営者が亡くなった後、家族が困らないようにするためには、
保証債務の精査、生前の契約整理、生命保険の設計が極めて重要です。
リスクを最小限に抑えるためにも、専門家と連携しながら早めの対策を進めましょう。
みのり青山では、相続や遺産分割のお悩みや手続きの進め方に関して、初回相談無料で対応しております。
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