エンディングノートを書いていれば遺言書はいらない?|気持ちと手続きの“すき間”を埋める大切な話

エンディングノートを書いていれば遺言書はいらない?|気持ちと手続きの“すき間”を埋める大切な話


目次

「エンディングノートがあるから、遺言書まではいらない」──本当にそれで大丈夫?

70代の親から、「もうエンディングノートは書いたから、遺言はしなくていいよ」と言われたことはありませんか?

たしかに、エンディングノートがあると、財産の所在や親の気持ちが整理されていて、「しっかり考えてくれている」と安心します。
しかし──それだけで本当に十分といえるのでしょうか?

この記事では、エンディングノートがある人こそ、遺言も一緒に考えておくべき理由を、具体例を交えてわかりやすく解説します。


エンディングノートに込められた“気持ち”は、家族への大きな財産

エンディングノートには、以下のような情報が記されることが多いです:

  • 銀行口座や不動産など、財産の一覧
  • 医療や介護、葬儀・お墓に関する希望
  • 家族へのメッセージ
  • 誰に何を託したいか、という想い

こうした情報は、残された家族にとって非常にありがたいものです。
実際の相続現場では、「何を持っていたのか分からない」「どこに通帳があるか分からない」といった混乱が頻繁に起こります。

そのため、エンディングノートを書いてくれているという事実自体が、すでに大きな思いやりの表れなのです。


しかし──エンディングノートには“法的効力”がありません

エンディングノートは自由に書ける分、法的な形式が定められておらず、相続の手続きには使えません

たとえば、「預金は長女に渡す」とノートに書いてあっても、銀行はその内容だけで名義変更には応じてくれません。
また、「自宅は次男に残したい」とあっても、それだけでは不動産の名義変更もできません。

つまり、親の想いは伝わっても、それを実行する“力”がないのがエンディングノートなのです。


【具体例①】エンディングノートはあったのに…兄弟でもめたケース

ある家庭で、父親が亡くなり、3人きょうだいが相続人となりました。
父は生前にエンディングノートを残しており、「長男には家を、次男と長女には預金を」と想いを書いていました。

ところが、遺言書はなかったため、法的には3人が全財産を等しく相続することに。
長女は「家も平等に分けてほしい」と主張し、兄弟で対立。
父の想いとは違う形で不動産が売却されることになってしまいました。

→ エンディングノートだけでは、希望を実現できないことがあるのです。


エンディングノートを書いている人こそ、遺言作成のハードルが低い

実は、エンディングノートをすでに書いている人は、遺言の準備がスムーズに進められるケースが多いです。
なぜなら、財産の内容や分け方の希望がすでに整理されているため、「あとはそれを法的に有効な形にするだけ」で済むからです。


【具体例②】エンディングノートをベースに公正証書遺言を作成したケース

70代の母がエンディングノートを用意しており、「次男に家を継いでほしい」と記していました。
その想いを尊重した長男が専門家に相談し、母は公正証書遺言を作成。
結果、相続時にはスムーズに名義変更ができ、他の兄弟とのトラブルも起こりませんでした。

→ エンディングノートを土台にすれば、遺言は決して難しいものではありません


遺言は「手続きの設計図」──家族を守るための準備です

エンディングノートが「家族への手紙」だとすれば、
遺言は、家族が迷わず動けるための“設計図”のような存在です。

法的な手続きの場面では、感情や希望だけでは解決できないこともあります。
でも、遺言という法的文書があれば、「親の想いを実現する」ための裏付けになります。


エンディングノートと遺言は、セットでこそ真価を発揮する

エンディングノートと遺言には、それぞれ役割があります。

役割エンディングノート遺言書
気持ちを伝える◎ 自由に書けて家族に想いを伝えられる△ 内容次第では感情面が薄くなる
手続きを進める× 法的効力なし◎ 財産の名義変更や遺産分割に使える
書きやすさ◎ 誰でも始めやすい△ 法的形式を守る必要がある
実行の確実性× 実行される保証はない◎ 法的に確実に実行される

まとめ|「書いてくれている」からこそ、あと一歩が未来を守る

親がエンディングノートを書いてくれている。
それは、すでに大きな一歩です。

でも、それだけでは「想いをかたちにする」ことはできません
だからこそ、その想いを“法的に有効なかたち”に変える、遺言書が必要なのです。

  • 「想い」をエンディングノートで
  • 「手続き」を遺言書で

この2つをセットにすることで、家族が迷わずに動ける環境が整います。

「まだ早い」「必要ない」と思わず、
親が書いてくれたノートをきっかけに、ぜひ一度、遺言についても話してみてください。

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