遺言書に出てくる二つの「〇〇者」って何?|遺言執行者と祭祀主宰者をわかりやすく解説【具体例あり】

遺言書に出てくる二つの「〇〇者」って何?|遺言執行者と祭祀主宰者をわかりやすく解説【具体例あり】


目次

遺言書に出てくる「〇〇者」って?

遺言書を作る際、よく出てくるキーワードに「〇〇者」という言葉があります。
その中でも特に重要なのが、次の2つです。

  • 遺言執行者(いごんしっこうしゃ)
  • 祭祀主宰者(さいししゅさいしゃ)

いずれも、遺言の内容を正しく実現したり、家の大切な役割を引き継いだりするうえで、欠かせない存在です。
この記事では、それぞれの意味と役割、誰を選ぶべきか、注意点などを具体例を交えて解説します。


遺言執行者とは?

▼ 遺言の内容を「実行」する役目の人

遺言執行者は、遺言書に書かれた内容を実際の手続きとして行う人のこと。
たとえば「自宅を長女に相続させる」「長男に借金を返済させる」など、相続の実務に関わる作業を担います。

具体的には次のようなことを行います。

  • 預金の解約・払い戻し
  • 不動産の名義変更
  • 遺言による認知の届け出
  • 相続人に対する通知や説明
  • 相続分の配分が指定されていれば、その通りに遺産を分ける

法的には、他の相続人の代理人のような立場で、必要な手続きを進めることができます。


▼ 遺言執行者になれるのは誰?

未成年者と破産者を除けば、基本的に誰でも遺言執行者になることができます。
相続人がなることも可能です。

ただし、たとえば相続人同士に利害の対立があるような場合、中立性を保つために行政書士や司法書士など第三者の専門家を指定しておくと、手続きがスムーズに進みます。


▼ 【具体例①】司法書士を遺言執行者にして名義変更がスムーズに

母の遺言には「自宅は次男に、預金は長男に」と明記されていました。
遺言執行者として司法書士を指定していたため、次男の自宅相続に関する登記手続きや、長男への預金の分配なども滞りなく進行。
家族で特別な話し合いをすることなく、遺言通りに手続きが完了しました。


祭祀主宰者とは?

▼ お墓や仏壇を管理する人

「祭祀主宰者」はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、意味はシンプルです。
被相続人(亡くなった方)の「お墓」「仏壇」「系譜(家系図など)」といった祭祀財産を受け継ぐ人を指します。

遺産とは違い、祭祀財産は家の精神的な財産。相続人全員で分けるものではなく、誰か一人に引き継がれます。


▼ 祭祀主宰者はどう決まる?

原則として、遺言書に「○○を祭祀主宰者とする」と記載があれば、その人が引き継ぎます。
遺言がなければ、慣習や家族間の話し合いで決めるのが一般的です。

また、祭祀主宰者は法律上、辞退できないのが原則です。
もし受け継ぐことが難しい場合は、家族での協議が必要になります。


▼ 【具体例②】遺言により祭祀主宰者が明確だったケース

父の遺言には「長男を祭祀主宰者とする」と明記されており、自宅の仏壇とお墓の管理を長男が行うことになりました。
ほかの兄弟も「長男が昔から親と同居していたから」と納得しており、特別なもめごともなく承継が完了。
のちにお墓の移転手続きなどもスムーズに進みました。


2人の「〇〇者」は、家族のために指定しておくと安心

遺言書は「誰に何を渡すか」を書くだけではありません。
それを「実行する人」「家の祭祀を守る人」も指定できるのが、遺言の強みです。

  • 遺言執行者:相続手続きの実行役。専門家を指定すればより安心
  • 祭祀主宰者:お墓や仏壇の承継者。想いを託す大切な役割

遺言書で指定しないとどうなる?

遺言執行者も祭祀主宰者も、指定がなければ以下のようになります。

  • 遺言執行者:相続人が協議で選任、または家庭裁判所に選任を申し立てる
  • 祭祀主宰者:慣習や話し合いで決まるが、もめる原因にもなりやすい

指定がないと手続きが滞ったり、相続人間での対立を招く可能性があります。


まとめ|「〇〇者の指定」は家族への思いやり

遺言書に出てくる2つの〇〇者──
それは「遺言執行者」と「祭祀主宰者」です。

  • 遺言執行者は、財産の分配などを実行する人
  • 祭祀主宰者は、家のお墓や仏壇を守る人

どちらも、指定しておけば相続手続きや家族間の調整がぐっと楽になります。
とくに、利害が絡みやすい相続人同士の場合には、中立的な専門家を遺言執行者に指定することが効果的です。

ご家族にとって、余計な負担やトラブルを避けるためにも、「遺言執行者」「祭祀主宰者」の指定はぜひ検討してみてください。

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