親が認知症になったら相続はどうなる?生前対策の重要性と注意点


親が認知症になったら相続はどうなる?生前対策の重要性と注意点


目次

はじめに

「親が最近、認知症と診断されたけれど、相続のことってどうなるの?」

相続の準備を進めようとした矢先、親が認知症と診断される——
これは、多くの家庭で起こり得る現実です。相続は「人が亡くなってから始まる」と思われがちですが、認知症の進行によって“生前対策”ができなくなるリスクも大きく、早めの備えが不可欠です。

今回は、親が認知症になった場合の相続への影響、取れる対策、そして実際の事例も交えてわかりやすく解説します。


認知症になると相続対策が制限される理由

親が認知症になると、自分の意思で遺言を書いたり、生前贈与を行ったりすることが難しくなります。相続対策は「判断能力があるうち」にしかできないことが多いため、認知症になることで次のような支障が生じます。

● 遺言書が作れなくなる

遺言は、本人が「何を・誰に・なぜ渡すか」を理解した上で書く必要があります。認知症が進行して意思能力がないと判断されると、遺言は無効とみなされる可能性があります

● 生前贈与や名義変更も不可に

本人の意思確認が必要な行為(不動産の名義変更、預金の贈与など)は、認知症になると実行できなくなります。家族が代わりに勝手に手続きすることはできません。


認知症の親の財産をどう管理する?

本人が判断できない状態になった後に財産管理が必要になる場合、法的な代理制度を活用します。

1. 成年後見制度の活用

認知症の親に代わって、法的に認められた代理人が財産管理や契約行為を行う制度です。

  • 家庭裁判所に申し立てて「後見人」が選ばれる
  • 預貯金の引き出し、施設費用の支払い、不動産管理などが可能
  • 贈与などの無償の財産処分行為は原則できない
  • 遺言は本人しか作成できないため、認知症を発症して後見人が選ばれると遺言を残すのが難しくなる

つまり、成年後見制度は「相続対策」ではなく、「財産保護と管理」の制度です。


よくある事例①:遺言が間に合わなかったケース

70代の父が急に認知症と診断され、何も対策ができないまま進行。
父は「長男に家を任せたい」と以前話していたが、遺言は作成されておらず、
相続の際には兄弟間で意見が割れ、家庭裁判所の調停にまで発展した。

→ 認知症が進むと「遺言で思いを伝える」ことができず、残された家族が争う可能性があります。


よくある事例②:不動産の売却ができないケース

認知症の母が所有する土地を売却して施設費用にあてたいが、名義が母のまま。
本人の意思確認が取れないため、売却手続きができず、
急遽、成年後見人を申し立てるも手続きに数か月かかり、施設の入所に遅れが出た。

→ 親名義の財産を動かすには、法的手続きに時間と費用がかかることを理解しておく必要があります。


認知症になる前にできる相続対策

1. 遺言書の作成

判断能力があるうちに、遺言書を作成することがもっとも重要な対策です。
自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用すれば検認不要となりますが、内容のチェックまでは行われないため、より確実でトラブル回避に役立つ「公正証書遺言」を選ぶ方が安心です。

2. 家族信託(民事信託)の活用

近年注目されているのが、「家族信託」です。

  • 認知症になる前に、子どもに財産の管理・運用を託しておく契約
  • たとえば、家を長男に託す信託契約を締結すれば、将来その名義をスムーズに引き継げる

ただし、公証役場での手続きや契約内容の設計が必要なので、専門家への相談が推奨されます。

3. 任意後見契約

元気なうちに「将来、認知症になったときはこの人に後見を任せたい」と契約を結んでおく方法です。
発動は医師の診断後で、事前に信頼できる人を決めておくことができます。


まとめ|「元気なうち」にできることが最大の相続対策

認知症は、ある日突然やってくることもあります。
親が元気な今だからこそ、遺言書や生前贈与、家族信託などの準備ができます

相続の現場では、「もっと早く話しておけばよかった」「遺言さえあれば…」という声が多く聞かれます。

  • 「うちの親はまだしっかりしているから大丈夫」
  • 「財産が少ないから心配ない」

そう思っている今が、実は最大のチャンスかもしれません。

親が認知症になる前に、そしてトラブルが起こる前に。
家族みんなが安心できる未来のために、ぜひ一度相続の準備を始めてみてください。


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