遺贈とは?特定遺贈と包括遺贈の違いをわかりやすく解説
遺贈とは?特定遺贈と包括遺贈の違いをわかりやすく解説【具体例あり】
「遺贈(いぞう)」とは何か?
相続に関する言葉の中で、「遺贈」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
遺贈とは、遺言によって、財産を法定相続人以外の第三者や団体などに無償で譲ることをいいます。
通常の「相続」は、法律で決まった相続人が対象ですが、「遺贈」は遺言によって自由に受取人(受遺者)を指定できるのが特徴です。
遺贈と相続の違い
比較項目 | 相続 | 遺贈 |
---|---|---|
受取人 | 法定相続人 | 相続人以外の第三者・法人も可 |
根拠 | 民法の法定相続ルール | 遺言書による意思表示 |
放棄方法 | 相続放棄(3か月以内) | 明確な意思表示でOK(期限なし) |
税制上の扱い | 各種非課税特例がある | 原則として適用なし(一部例外あり) |
遺贈を活用することで、親族以外の大切な人や団体へ財産を遺すことができます。
遺贈の2つのタイプ
遺贈には、以下の2種類があります。
✅ 特定遺贈(とくていいぞう)
特定の財産を明示して譲る形式です。
例:「東京都渋谷区の土地を○○に遺贈する」「○○銀行の預金を××に譲る」
- 財産が明確に指定される
- 対象財産のみを受け取る
- 債務の引継ぎはなし
✅ 包括遺贈(ほうかついぞう)
財産の一部を割合で譲る形式です。
例:「全財産の3分の1を□□に遺贈する」
- 財産全体に対して割合で受け取る
- 借金などの負債も同割合で引き継ぐ
- 相続人とほぼ同様の扱いになる
具体例で比較してみましょう
● 特定遺贈の例
Aさんは「長年世話になった友人Bに、自宅不動産を遺贈する」と遺言しました。
→ Bさんはその不動産のみを受け取り、他の預金や借金などは関係しません。登記変更や固定資産税の支払い義務は発生しますが、相続財産全体に関わる義務はありません。
● 包括遺贈の例
Cさんは遺言で「自分の全財産の4分の1を、内縁の妻Dに遺贈する」と記載しました。
→ Dさんは相続人ではありませんが、包括遺贈により財産全体に対して1/4の権利と義務を持ちます。現金だけでなく不動産・株式・借金もその対象になります。
遺贈に関する注意点
1. 遺言書が必要
遺贈は、遺言書によって初めて成立します。生前の口約束やメモだけでは効力がありません。確実な意思を残すには、特に公正証書遺言の作成が望ましいです。
2. 法定相続人以外にも財産を遺せる
遺贈では、以下のような人や団体も受遺者に指定できます:
- 内縁の配偶者
- 介護をしてくれた知人
- 信頼していた友人
- 認定NPO法人や福祉団体など
最近では「遺贈寄付」として、公益法人に遺産を遺す事例も増えています。
3. 税制上の負担が大きくなることも
法定相続人には、以下のような相続税の優遇措置があります:
- 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)
- 配偶者の税額軽減(最大1億6,000万円まで非課税)
- 小規模宅地の評価減
- 生命保険金・退職金の非課税枠(各500万円×相続人の数)
一方、受遺者(遺贈を受けた人)にはこれらの制度は適用されません。
さらに、相続税額が2割加算される点も注意が必要です(相続税法第18条)。
4. 公益法人などへの遺贈は非課税になる場合がある
相続税法第12条により、認定NPO法人や学校法人、社会福祉法人など公益目的の法人に対する遺贈は、一定の条件を満たせば相続税非課税となります。
条件:
- 遺贈の対象が公益事業で使用される
- 相続税の申告期限までに届出がなされる
これがいわゆる「遺贈寄付」と呼ばれる形式で、節税効果も期待できるケースです。
まとめ|遺贈は“想い”を届ける制度。正しく活用しよう
遺贈は、遺言を通じて「誰に・何を・どう渡すか」を明確にすることで、大切な人や団体に自分の想いを届けられる制度です。
- 指定した財産だけを渡すなら【特定遺贈】
- 財産全体を包括的に分けるなら【包括遺贈】
目的に応じて使い分けが必要です。
ただし、税制面の優遇は原則としてなく、相続税が2割加算される可能性があることから、財産の内容や税負担も考慮したうえで、専門家のサポートのもと遺言書を作成することをおすすめします。
遺贈は“法”だけでなく、“想い”を形にする制度です。将来、遺された人たちが困らないように、しっかり準備しておきましょう。
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