賃貸不動産を共有で相続するデメリット|契約・修繕・売却で揉めやすいポイントとは?

賃貸不動産を共有で相続するデメリット|契約・修繕・売却で揉めやすいポイントとは?


アパートや貸家などの賃貸不動産を相続する場合、
相続人同士で「共有名義」にしてしまうケースがよくあります。

しかし、賃貸不動産の共有相続には大きなデメリットが潜んでいます。
法律上の手続きや意思決定に制約が多く、トラブルや空室リスクにつながることもあります。

この記事では、共有で相続した場合の具体的なデメリットと注意点を解説します。


目次

1. 賃貸借契約には共有者の「過半数」の同意が必要

賃貸不動産で重要なのが、新たな賃貸借契約や更新の判断です。

民法では、共有物の管理行為(賃貸借契約の締結・更新など)には:

共有者の持分価格の過半数の同意が必要(民法252条)

✅ つまり…

  • 相続人3人で持分1/3ずつの共有 → 2人の合意が必要
  • 持分によっては、誰か1人が反対すると、新規契約や更新ができない可能性も

➡ 賃貸経営のスピード感が損なわれ、入居率にも影響が出る恐れがあります。


2. 大規模リフォームや修繕も「過半数」で決められるが…

2023年の民法改正により、共有物の変更に関する規定が明確化されました。

保存行為(修理・補修など)→ 単独で可能
変更を伴わない修繕(屋根修理など)→ 過半数で可能
用途を変えるようなリノベーション → 全員の同意が必要

✅ 注意ポイント:

  • クロスの張替え、外壁塗装などの維持管理 → 過半数でOK
  • 売却前提のリフォームや間取り変更 → 全員の同意が必要

➡ 「一部の相続人が修繕に消極的」「費用負担で揉める」ケースがよくあります。


3. 売却には全員の同意が必要

相続人の間で「もう維持できないから売却しよう」という話が出たとき、
共有不動産を売却するには共有者全員の同意が必要です。

❌ 誰か1人でも反対すると…

  • 売却ができない
  • 管理費や税金だけがかかり続ける
  • 空室リスクや価値下落の恐れも

➡ 将来的な選択肢が狭まり、資産価値が目減りすることもあります。


4. 修繕費・税金の分担で揉めやすい

  • 賃貸物件は、定期的に修繕やメンテナンスが必要です。
  • 固定資産税や都市計画税、火災保険料なども共有者で負担します。

❌ 共有者の1人が「支払いたくない」と言い出すと…

  • 他の共有者が立て替える → 不公平感
  • 請求や立替金の清算にトラブル
  • 結果として「相続したのに赤字になる」状態に

5. 分割協議がしにくくなる

一度共有で登記すると、後から分割して単独所有にするには贈与や売買が必要です。
持分放棄や買い取りにも、税務上の注意点があります。

➡ 相続時にしっかりと話し合い、共有ではなく単独所有にする工夫が重要です。


6. トラブル防止の対策は?

方法内容
共有ではなく代償分割不動産は1人が取得し、他の相続人に現金で補償する
遺言書で配分を指定生前に「誰が賃貸物件を継ぐか」明記しておく
管理委任契約共有者の1人に管理・運営を一任し、運営の効率化を図る
民事信託の活用収益不動産を信託財産として管理する方法もある(専門家相談要)

まとめ|賃貸不動産の共有相続は、できれば避けたい

デメリット内容
契約の合意が必要賃貸借契約や更新に過半数の同意が必要
修繕やリフォームが進まない判断や費用分担で揉める可能性大
売却の自由がない全員一致でないと売却できない
税・維持費の負担が不公平に他人任せになりやすい
後から分割が難しい共有状態を解消するにはコストや税務リスクがある

賃貸不動産は共有相続にすると揉める・動けない・損をするの三重苦に陥りやすい資産です。
相続前から、誰が承継するか・どう分けるかを決めておくことが最大の対策となります。

心配な方は、専門家に早めに相談されることをおすすめします。

みのり青山では、相続や遺産分割のお悩みや手続きの進め方に関して、初回相談無料で対応しております。

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