未成年者が相続人になったときの注意点とは?必要な手続きと活用できる控除
未成年者が相続人になったときの注意点とは?必要な手続きと活用できる控除
相続が発生したとき、相続人の中に未成年者が含まれている場合、手続きや税金の面で特別な配慮が必要です。
判断能力が未熟な未成年者が適切な相続を受けられるよう、法律でも保護の仕組みが整えられています。
今回は、未成年者が相続人になる場合の注意点と、利用できる相続税の控除制度について解説します。
■ 未成年者が相続人になるとは?
未成年者(18歳未満)が相続人になるケースは、主に以下のような場合です。
- 親(被相続人)が若くして亡くなった場合
- 歳の離れた配偶者との子どもが相続人になる場合
- 祖父母の相続で孫が代襲相続する場合
お亡くなりになった方に子供がいる場合の相続人は原則として、配偶者と子ども(または代襲相続人)です。被相続人に未成年の子や孫がいれば、年齢に関わらず法定相続人となります。
■ 注意点①:遺産分割協議には「特別代理人」が必要なことも
未成年者は法律上、自ら有効な契約などを結ぶことができません。
そのため、相続人として遺産分割協議を行う場合は親権者が代理します。
ただし、**親権者も相続人である場合(たとえば母と子が共同相続人)**は「利益相反」に該当し、親が子の代理人にはなれません。
このようなケースでは、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てる必要があります。
✅ 具体例①:父の死亡により、母と未成年の子どもが相続人に
父が亡くなり、相続人は母と未成年の子ども2人。
母が遺産分割協議を進める際、自身と子ども両方の代理をすることはできません。
→ 家庭裁判所に申し立て、子ども1人ごとに特別代理人を選任してもらう必要があります。
■ 注意点②:未成年者自身の判断では「相続放棄」はできない
相続放棄をするには、相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
しかし、未成年者が放棄を希望しても、自ら意思決定することはできません。
親権者が代理申述することになりますが、ここでも利益相反関係があると特別代理人が必要になります。
また、親権者の同意だけで放棄が成立するわけではないため、手続きには注意が必要です。
■ 注意点③:不動産や高額な財産の取り扱いには慎重さが求められる
未成年者が相続する財産に、不動産や高額な金融資産が含まれている場合、その管理や処分には特に注意が必要です。たとえば、相続した不動産を売却する、名義を変更する、担保に入れるといった手続きを行うには、未成年者本人の意思では進められません。
このような重要な財産の取り扱いについては、未成年者の利益を最優先に考える必要があります。そのため、親権者や後見人といった代理人がいても、手続きの正当性や透明性が問われる場面が出てくるでしょう。
■ 利用できる控除①:未成年者控除
未成年の相続人は、18歳になるまでの年数に応じて、相続税額から控除を受けることができます。
● 控除額の計算式
10万円 ×(18歳 − 相続開始時の年齢)
✅ 具体例②:12歳の子どもが相続人の場合
→ 10万円 ×(18−12)= 60万円が控除される
なお、控除しきれなかった金額は、その子の扶養義務者(多くは親)の税額から差し引くことも可能です。
■ 利用できる控除②:障害者控除(併用可能)
未成年者が障害者である場合、「未成年者控除」と「障害者控除」の両方を併用可能です。
- 一般障害者:10万円 ×(85歳 − 年齢)
- 特別障害者:20万円 ×(85歳 − 年齢)
申告書に正確に記載すれば、相続税の大幅な軽減が見込めます。
■ 相続手続きは専門家と連携を
未成年者が相続人となる場合は、親権や代理行為、税務処理などで複雑な手続きが発生します。
「何から始めればいいかわからない」という方も多いでしょう。
特に以下のようなケースでは、行政書士・税理士・司法書士の連携によるサポートが有効です。
- 遺産分割協議書の作成が必要
- 家庭裁判所への申立てが必要
- 相続税の申告を行う必要がある
早い段階で専門家に相談し、不要なトラブルを避けることが大切です。
■ まとめ
未成年者が相続人になる場合、大人と同じようには手続きが進められません。
必要な代理人の選任や家庭裁判所の許可、相続税控除の適用など、法的な知識と正確な手続きが求められます。
特に「未成年者控除」は、相続税を減らすために非常に効果的な制度です。
見落とさずに、適切に申告するようにしましょう。
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