任意後見制度とは?親が元気なうちに考えたい、認知症への備え

任意後見制度とは?親が元気なうちに考えたい、認知症への備え


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「友だちの親が認知症になって…うちは大丈夫かな」

「つい先日、仲の良い友人のお母さんが認知症になってしまって、何も準備していなかったから大変だったって聞いたんです。うちもそろそろ考えないといけないかも…」

そんなご相談を受けました。

高齢の親をもつ世代にとって、「認知症」は他人ごとではありません。元気に見えていても、ある日を境に判断力を失い、預金の管理や施設入所の手続きができなくなることは現実に起こりえます。

そうなる前に、「もしも」のときの備えとして検討したいのが「任意後見制度」です。


任意後見制度とは?

任意後見制度は、将来、判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人に財産管理や生活のサポートをお願いしておく契約制度です。

簡単に言えば、「元気なうちに、将来の代理人を自分で決めておく制度」です。

▼ 任意後見の特徴

  • 本人が元気なうちに契約を結ぶ
  • 判断能力が低下したとき、家庭裁判所の監督のもとで代理人がスタート
  • 財産管理だけでなく、医療・介護サービスの契約なども代行可能
  • 任意後見契約は公正証書で作成する必要あり

具体例:親の認知症に備えて娘が任意後見人に

● ケース:70代の母と40代の娘

東京都内に住むAさん(40代女性)は、70代の母親と二人暮らし。母は元気だが、最近少し物忘れが目立つように。

「もしものとき、私が母の代わりに銀行で手続きしたり、施設入所の契約をしたりできるようにしておきたい」と、任意後見契約を結ぶことに。

母が元気なうちに公証役場で契約を結び、娘を将来の任意後見人に指定。母が認知症と診断され、医師の診断書が出された段階で、家庭裁判所に申立てを行い、任意後見がスタートしました。

以後、娘が母の代わりに介護サービスの手続きや、金融機関での支払いなどをスムーズに進められるようになりました。


任意後見制度と法定後見制度の違い

比較項目任意後見制度法定後見制度
開始時期本人が元気なうちに契約判断能力が低下してから申立て
後見人の決定本人が自分で選べる家庭裁判所が選任
契約方法公正証書で契約裁判所による審理
柔軟性高い(内容を自由に決められる)一定の法的制限あり

任意後見契約でできること・できないこと

✅ できること

  • 預金口座の管理や支払い代行
  • 年金や保険の手続き
  • 医療・介護サービスの契約
  • 不動産の管理(賃貸契約や修繕など)

❌ できないこと(別の対策が必要)

  • 死後の財産の管理(遺言や死後事務委任契約が必要)
  • 成年後見開始前の代理(→ 財産管理委任契約との併用が有効)

任意後見制度の利用の流れ

  1. 任意後見契約の締結(公正証書)
    本人が元気なうちに、公証役場で契約書を作成します。
  2. 判断能力の低下 → 医師の診断
    認知症などで判断能力が低下したと判断されると、契約に基づいて次のステップへ。
  3. 家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立て
    任意後見人が勝手に動くのを防ぐため、監督人がつきます。
  4. 任意後見スタート
    裁判所の認可を受けた後、任意後見人が財産管理などを行います。

親が元気なうちだからこそ、話し合える

任意後見契約は、認知症になってからでは締結できません。
つまり、「うちはまだ大丈夫」と思っていると手遅れになることもあるのです。

親がまだ元気な今のうちだからこそ、

  • 「将来困らないように、今話しておこう」
  • 「お金の管理をどうしたいか、一緒に考えよう」

そんなふうに、前向きな対話をすることができます


任意後見制度を利用する前に知っておきたいこと

  • 後見契約は公正証書で結ぶ必要があるため、公証役場との手続きが必要
  • 家庭裁判所の監督が入るため、透明性が確保される一方で多少の手間もある
  • 遺言書や死後事務委任契約とセットで考えるとより安心

まとめ|「まだ元気だからこそ」任意後見を考えるタイミング

親の認知症や介護が現実味を帯びてきたとき、何から始めればいいかわからず不安になるものです。
そんなとき、任意後見契約は「今のうちに準備できる安心材料」になります。

親の尊厳を守りながら、自分たちも備えておける。
それが、任意後見制度の一番の魅力です。

「何も決めてなかったから大変だった…」と後悔しないように、ぜひ早めに親子で話し合ってみてください。

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