使い忘れると損!忘れがちな相続税の控除「障害者控除」と「相次相続控除」とは
使い忘れると損!忘れがちな相続税の控除「障害者控除」と「相次相続控除」とは?
相続税の申告では、「基礎控除」や「配偶者の税額軽減」などがよく知られていますが、それ以外にも適用できる控除があることをご存じでしょうか?
特に「障害者控除」と「相次相続控除」は、使い忘れや見落としが多く、申告後に修正申告や更正の請求となるケースも珍しくありません。
この記事では、この2つの控除の制度内容、適用条件、そして実際の具体例を交えて、わかりやすく解説します。
■ 障害者控除とは?
障害者控除は、相続人が障害者である場合に適用できる控除です。
【制度の概要】
被相続人から財産を相続する人が以下のいずれかに該当する場合、その人が負担する相続税から控除される制度です。
- 障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳など)を有する人
- 特別障害者(障害等級が重度であると認定されている人)
控除額は、次のように計算されます。
【控除額の計算】
- 一般障害者:10万円 ×(85歳-相続開始時の年齢)
- 特別障害者:20万円 ×(85歳-相続開始時の年齢)
※未成年者の場合、「未成年者控除」との重複適用は不可ですが、有利な方を選択できます。
【事例①】
長女(55歳)が重度の身体障害者で、父親から2,000万円を相続しました。
長女は「特別障害者」に該当します。
→ 控除額は「20万円 ×(85歳-55歳)=600万円」
相続税の課税価格が600万円以下なら、相続税は0円になります。
■ 注意点:障害者控除は「申告しないと適用されない」
障害者控除は、自動で適用されるわけではありません。
相続税申告書に障害者であることを証明する書類(障害者手帳のコピー等)を添付し、該当欄に明記する必要があります。
控除対象となるのに申告しなかった場合は、後から更正の請求で取り戻すしかありません。
「家族が障害者である」ことを伝えていないと、専門家側も気づけない場合がありますので、注意が必要です。
■ 相次相続控除とは?
相次相続控除は、短期間で相続が2回以上起こった場合に適用される控除です。
【制度の概要】
たとえば、父→母→子の順で相続が続くケースでは、母が父から相続した際に相続税を納めた後、さらに短期間で母が亡くなると、再度子が相続税を払うことになります。
このように、既に課税された財産が短期間で再び相続される場合、二重課税を緩和するために使えるのが相次相続控除です。
【要件】
- 最初の相続から10年以内に再度相続が発生している
- 前回の相続で相続税を納めている
【控除額の計算】
前回の相続で納めた税額のうち、今回の相続人が負担していた金額を基準に、経過年数に応じて按分して控除します。
計算がやや複雑なため、税理士等の専門家に依頼するのが一般的です。
【事例②】
・2020年に父が亡くなり、母が1億円を相続して相続税を1,000万円支払った
・2024年に母が亡くなり、長男が1億円のうちの8,000万円を相続
→ 長男は、母が負担した相続税1,000万円のうち、4年分(10年以内)をもとに、一定額を今回の相続税から控除できます。
相続税の納税額が数百万円単位で減額されるケースもあります。
■ 見落とされがちな控除を活かすには?
相続税の申告は、多くの控除制度を踏まえて正確に計算しなければ、不要な税金を納めてしまう可能性があります。
障害者控除も相次相続控除も、税務署側が積極的に教えてくれることはありません。
そのため、以下のような準備・対応が必要です。
- 家族構成や相続人の状況を詳細に把握
- 過去の相続記録を確認
- 早めに専門家に相談し、控除の可能性を確認する
■ まとめ|控除の使い忘れが、何十万円もの差に
相続税は複雑で、納税額も高額になりやすい税金のひとつです。
特に、「障害者控除」「相次相続控除」は申告書類への記載漏れや認識不足が多いポイントです。
- 障害者控除:障害者手帳があれば適用できる可能性大
- 相次相続控除:10年以内の連続した相続があるなら要確認
たった一言、専門家に伝えていれば適用できた控除を見落としただけで、数十万円〜数百万円の損失になることもあります。
心当たりがある場合は、早めに専門家に相談することで適正な申告と節税対策が可能になります。
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