成年後見制度の種類とは?「後見・保佐・補助」の違いと選び方を解説

成年後見制度の種類とは?「後見・保佐・補助」の違いと選び方を解説


高齢化の進行とともに、認知症や精神障害などにより契約や財産管理などが困難になるケースが増加しています。
こうした状況に対応するために設けられているのが「成年後見制度」です。

この制度では、本人の判断能力の程度に応じて支援の仕方が3つに分かれています:

  • 成年後見
  • 保佐
  • 補助

本記事では、それぞれの支援内容の違いや法的根拠、制度の選び方について正確に解説します。


目次

1. 成年後見制度の法的概要

成年後見制度とは、精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により「事理を弁識する能力」を欠く常況、または著しく不十分となった者について、家庭裁判所が後見人等を選任し、本人の法律行為や財産管理を支援・保護する制度です(民法第7条、第11条)。


2. 3つの支援方式と対象者

支援の種類判断能力の程度法的支援の内容
成年後見事理を弁識する能力を欠く状態原則としてすべての法律行為について後見人が代理(民法第859条)
保佐判断能力が著しく不十分一定の重要な行為について保佐人の同意が必要。同意のない行為は取り消し得る(民法第13条、第876条の3)
補助判断能力が不十分家庭裁判所が定めた範囲で補助人に同意権・代理権が付与される(民法第17条、第876条の9)

3. 各支援内容の特徴と実務上の取り扱い

成年後見

  • 対象:意思能力がほとんどない人(例:重度の認知症患者など)
  • 内容:後見人が包括的に法律行為を代理し、本人が行った法律行為は原則として取り消し可能。

保佐

  • 対象:判断能力が著しく不十分な人
  • 内容:重要な法律行為(不動産処分、借金など)に保佐人の同意が必要。裁判所の許可により代理権も付与可能。

補助

  • 対象:判断能力がある程度不十分な人
  • 内容:特定の行為について、家庭裁判所の審判により補助人に同意権・代理権を付与。本人の自立を尊重する制度。

4. 比較表:3つの支援方式の概要

項目成年後見保佐補助
判断能力欠如している著しく不十分一定程度不十分
支援者後見人保佐人補助人
同意権不要(全面代理)あり(特定行為)家裁の審判により付与
代理権包括的に付与家裁の審判により付与可能限定的に付与(要申立て)
取消権原則すべての行為を取り消せる同意を要する行為を取り消せる条件により取り消し可能

5. 支援方法の選び方と判断基準

状況適した支援の種類
判断能力が常に欠如している成年後見
判断能力が著しく低下し一部支援が必要保佐
判断能力にやや不安がある補助

家庭裁判所は、医師の診断書や申立書の内容などをもとに、本人の状況を総合的に判断して適切な支援方法を選定します。


6. 任意後見制度との違い

任意後見制度は、本人が元気なうちに契約で後見人を決めておく制度です。将来の備えとして活用されています。

比較項目法定後見任意後見
開始時期判断能力喪失後判断能力があるうちに契約
後見人の選定家庭裁判所が選任本人が任意に指定
柔軟性制限あり高い(契約内容次第)

まとめ|成年後見制度は本人の状態に応じて支援の形を選べる

支援の種類対象となる判断能力支援の特徴
成年後見判断能力が欠如している包括的な代理と取消が可能
保佐著しく不十分重要な行為に同意が必要、代理も可
補助やや不十分特定行為に限定した支援

本人の権利保護と意思の尊重を両立するためにも、正しい制度選択と早めの準備が大切です。

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