遺産分割が相続税申告期限までにまとまらないとどうなる?5つの大きなデメリットと対策

遺産分割が相続税申告期限までにまとまらないとどうなる?5つの大きなデメリットと対策


遺産分割は、相続人全員の合意が必要なため、話し合いが長引くことも少なくありません。
しかし、相続税の申告期限(原則として相続開始から10か月以内)までに遺産分割がまとまらないと、相続税上で大きな不利益が生じることがあります。

この記事では、遺産分割が期限までにまとまらない場合の主な5つのデメリットとその対策を解説します。


目次

1. 配偶者の税額軽減が受けられない

相続税には、配偶者に対する大きな優遇措置があります。

配偶者は「1億6,000万円」または「法定相続分」までの相続であれば、相続税がかからないという制度(配偶者の税額軽減)

この軽減を受けるためには、誰が何を相続したか(遺産分割)が明確になっている必要があります。

❌ 分割未了だと…

  • 配偶者の取得分が確定しない
  • その結果、配偶者の税額軽減を適用できない

➡ 税額が大きくなってしまう恐れがあります。


2. 小規模宅地等の評価減の特例が使えない

一定の条件を満たす宅地については、評価額を最大80%減額できる特例があります(小規模宅地等の特例)。

ただしこの特例も、遺産分割が確定していることが前提です。

❌ 分割未了だと…

  • 相続人が誰の土地になるか決まっていない
  • 特例の申告ができない
  • 本来の課税評価額で課税されてしまう

3. 相続税を物納できない

相続税は、原則として金銭で一括納付が必要ですが、一定の条件下では「不動産などの物納」も認められます。

しかし、これも分割が完了していることが前提条件です。

❌ 分割未了だと…

  • 財産の帰属先が不明なままでは物納申請できない
  • 納税資金が確保できず、延滞税がかかるリスクも

4. 預貯金を納税資金に使えないことがある

被相続人名義の預貯金は、法定相続分に応じて引き出すことが可能になりましたが、それでも限界があります。

特に、遺産分割が終わっていないと…

❌ 分割未了だと…

  • 口座の解約や高額引き出しができない
  • 納税や葬儀費用に充てるための資金確保に苦労する
  • 相続人同士で引き出しに関するトラブルが起きやすい

5. 取得費加算の特例が使えなくなる

相続で取得した財産を売却した場合、譲渡所得税の計算において、支払った相続税を取得費に加算できる特例があります(取得費加算の特例)。

ただしこの特例には、「相続開始から3年以内の譲渡」という期限があります。

❌ 分割が長引くと…

  • 分割が終わらないと売却できない
  • 結果として、3年以内に売却できず、特例が使えない

対策1|申告期限後3年以内の分割見込書を提出する

これらの特例は、申告期限(10か月)までに遺産分割が終わっていない場合でも、一定の手続きをすることで後日適用可能となります。

✅ 「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくことで:

  • 後日、分割が終わったときに修正申告や更正の請求が可能
  • 配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例などを適用できる

対策2|早期に専門家を交えて分割協議を進める

  • 相続人間で話がまとまらない場合は、中立的な専門家に早めに相談することで、円滑に進めやすくなります。
  • 相続税の節税効果が大きいため、分割協議の長期化は金銭的にもリスクです。

まとめ|分割の遅れが相続税の負担を増やすことに

デメリット内容
1. 配偶者の税額軽減が使えない課税額が大きくなる
2. 小規模宅地等の評価減が使えない不動産の評価額が下がらない
3. 物納ができない不動産などで納税が不可能
4. 預貯金が使えない納税資金・生活資金が確保できない
5. 取得費加算が使えなくなる譲渡時の所得税負担が増える可能性

遺産分割が遅れると、相続税だけでなく資金繰りや将来の不動産売却にも影響します。
時間がかかりそうなときは、「3年以内の分割見込書」の提出と、早期の専門家相談がカギです。

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