特別代理人とは?相続で必要になるケースと手続きの流れ

特別代理人とは?相続で必要になるケースと手続きの流れ

相続の手続きを進める中で、「特別代理人」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。普段の生活ではあまり関わる機会がないため、どんな制度なのか分かりづらいものです。

本記事では、特別代理人の意味や必要となるケース、家庭裁判所での手続きの流れ、実際の具体例を交えてわかりやすく解説します。


目次

特別代理人とは?

特別代理人とは、法律上の利益が衝突する(利益相反)場合に、未成年者や成年被後見人の代わりに手続きを行う人のことを指します。

たとえば、親が子どもの代理人として遺産分割協議に参加するとき、親自身も相続人である場合には、親と子の間で利益がぶつかることになります。このような場面で、公平な立場で子どもの権利を守るために、家庭裁判所が特別代理人を選任します。


特別代理人が必要になるケース

相続の現場では、次のような場合に特別代理人の選任が必要です。

1. 未成年の子どもが相続人に含まれる場合

たとえば、父が亡くなり、母と未成年の子どもが相続人になったケースです。
母が子の代理人として遺産分割協議を進めると、母と子の間で遺産の取り分をめぐって利益が衝突するため、母は子の代理人にはなれません。

このようなとき、家庭裁判所が選任した第三者(たとえば親族や弁護士など)が子どもの代理人となり、遺産分割協議に参加します。

2. 成年被後見人が相続人になっている場合

被後見人の後見人自身が相続人の場合も、同じく利益相反となります。
後見人は自分の利益を優先できない立場にあるため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。


具体的な事例

ここで、実際の相続における具体例を見てみましょう。

事例1:未成年の子どもと母親が相続人

夫が亡くなり、相続人は妻と中学生の子ども。
遺産は自宅不動産(評価額3,000万円)と預貯金1,000万円。

母が「自宅を自分の名義にして、預金は子どもに渡す」という形で分けたいと考えても、母と子の利益が対立しているため、母は子の代理人にはなれません。
このため、家庭裁判所に申立てを行い、特別代理人が選任され、子どもの立場から妥当な分割かどうかを確認します。

事例2:後見人が同時に相続人

高齢の母が亡くなり、相続人は長男と次男。
長男は次男の成年後見人でもあります。
この場合、長男は次男の代理人として遺産分割協議に参加できません。
長男が後見人としての立場と相続人としての立場の両方を持っており、利益が衝突してしまうためです。
この場合も、家庭裁判所が特別代理人を選任し、次男の代理を務めます。


特別代理人の選任手続き

特別代理人を選任するには、家庭裁判所に「特別代理人選任の申立て」を行います。

【主な流れ】

  1. 申立書の提出
    家庭裁判所に「特別代理人選任申立書」を提出します。
  2. 必要書類の添付
    戸籍謄本、遺産分割協議案など、関係書類を添付します。
  3. 家庭裁判所の審査
    内容が妥当か、利益が対立していないかを確認します。
  4. 選任審判
    家庭裁判所が特別代理人を指定し、正式に選任されます。

特別代理人には、親族、信頼できる知人、または弁護士などが選ばれるのが一般的です。


特別代理人の役割

特別代理人の主な役割は、未成年者や被後見人の利益を守ることです。
遺産分割協議の場合、内容を確認して不利がないかを判断し、署名・押印を行います。

選任後は、代理人として一度きりの行為(遺産分割協議や書類提出など)を行い、その後自動的に任務が終了します。
つまり、継続的に後見をするわけではなく、特定の行為に限定して代理を行うという点がポイントです。


特別代理人を選ばずに進めてしまうと?

特別代理人を選任しないまま、親が子どもの代理人として遺産分割協議書に署名した場合、その協議は無効となる可能性があります。
無効になってしまうと、再度全員でやり直す必要があり、相続手続きが大幅に遅れてしまいます。

特に、不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の払戻しの場面で、家庭裁判所の選任書の提出を求められるケースも多くあります。
そのため、早めに家庭裁判所への申立てを行うことが大切です。


まとめ

特別代理人は、未成年者や被後見人の利益を守るために家庭裁判所が選任する、非常に重要な存在です。
親や後見人が自らの立場で手続きできない場合でも、特別代理人を通じて公平な遺産分割を行うことができます。

相続において、未成年者や判断能力の弱い方が関わる場合には、必ず「利益相反にならないか」を確認し、必要であれば特別代理人の申立てを行いましょう。

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