遺言書が2通出てきたらどうしたらよいか
遺言書が2通出てきたらどうしたらよい?|優先順位と対応のポイントを解説
遺言書が2通出てくることは実際にある?
「父の遺品を整理していたら、遺言書が2通見つかった…」
このようなケースは、意外と珍しくありません。
生前に複数回遺言書を書いていたり、古い遺言が片付けの際に発見されたりすることはよくあります。
問題は、内容が異なる2通の遺言が出てきた場合、どちらが有効なのかという点です。
複数の遺言書が出てきたときの基本ルール
民法では、次のような原則が定められています。
✅ 「新しい遺言が古い遺言に優先する」
内容が矛盾している部分に限り、新しい日付の遺言書が優先されます。
一方で、両者の内容が矛盾しない部分については、両方の遺言が併存することもあります。
新しい遺言があっても無効になる場合とは?
一見、新しい日付の遺言書が優先されるように思えますが、必ずしも新しい方が有効とは限りません。
次のようなケースでは、新しい遺言が無効とされる可能性があります。
❶ 形式不備
- 自筆証書遺言で、日付や署名、押印がない
- 財産の内容が曖昧(例:「預金を長男に」だけ)
❷ 遺言能力の欠如
- 作成時に認知症が進行していた
- 病状や診療記録により、判断能力がなかったとされる
❸ 真正性に疑義がある
- 筆跡が本人と異なる
- 書き換えた形跡がある
- 未来の日付になっている
→ このような場合、古い遺言の方が有効と判断されることもあります。
具体的な事例紹介|古い遺言と新しい遺言、どちらが有効?
▼ 事例:
被相続人(80代男性)の遺言が2通見つかりました。
- 【遺言①】:10年前に書かれた自筆証書遺言。長男にすべてを相続させる内容。
- 【遺言②】:2年前に書かれた自筆証書遺言。長男と長女に半分ずつ分ける内容。
遺言②の方が新しいため、内容が矛盾する部分については②が優先されると考えられます。
ただし、筆跡に違和感があり、当時は認知症の診断も出ていたため、長男が「無効ではないか」と主張。
最終的には家庭裁判所で遺言の有効性について争われることになりました。
→ 新しい遺言があっても、内容・形式・状況の確認が不可欠です。
トラブルを防ぐための3つの対応策
① 見つかった遺言書はすべて開示し、丁寧に確認する
複数の遺言書があるときは、内容や日付、署名の有無などを落ち着いて整理することが第一歩です。
1通だけを頼りに手続きを進めてしまうと、後から別の遺言が出てきてトラブルになることがあります。
② 不明点があれば、弁護士等の専門家へ相談を
遺言の内容に矛盾があったり有効性に疑問があり、争いの原因になりそうなときは弁護士に相談することが適切です。
判断に迷ったまま手続きを進めてしまうと、後で相続人間の対立が深まる原因にもなりかねません。
③ 遺言の重複を防ぐために「保管」と「更新」を意識
遺言書を複数残さないためには、新しい遺言を書いたら古いものを破棄する、または「無効とする」旨を記載しておくことが有効です。
自筆証書遺言であっても、法務局の保管制度を利用すれば、紛失・改ざんのリスクを減らせます。
まとめ|遺言書の複数存在は珍しくない。冷静に対応を
遺言書が2通出てきた場合は、内容の矛盾、作成日、形式の有効性を確認し、冷静に判断することが大切です。
新しい遺言があるからといって、それが必ずしも優先されるとは限りません。
一部だけが無効になる場合や、家庭裁判所で争いになるケースもあります。
まずは慌てず、すべての遺言を整理して専門家に相談することが、円満な相続への第一歩となります。
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