「財産が少ないから遺言は不要」は本当?|小さな相続こそトラブルの火種に
「財産が少ないから遺言は不要」は本当?|小さな相続こそトラブルの火種に
「うちは財産なんか大してないから、遺言なんて必要ないよ」
そんな言葉を、70代の親から聞いたことはありませんか?
確かに、不動産や預貯金が多くない場合、わざわざ遺言を書くなんて大げさだと感じるかもしれません。しかし実際には、「それほど多くない財産の相続」であっても、遺言があるかないかで家族の心労やトラブルの可能性は大きく変わるということが、現場では多く見られます。
財産の大小に関係なく相続トラブルは起こる
相続トラブルの原因は、「財産の額の多さ」だけではありません。むしろ、財産が多くないケースでも、感情の行き違いや誤解から大きな問題に発展することがあるのです。
例えば、親の介護を担ってきた子どもと、遠方にいて親と疎遠だった子どもがいた場合、遺言がないと「自分は何ももらえなかった」「話し合いにも入れてもらえなかった」といった不満が生まれやすくなります。
それが「相続での不満」ではなく、「これまでの関係への不満」と結びついてしまうと、兄弟姉妹の関係に大きなしこりを残すことになります。
遺言は“想いを伝える最後のメッセージ”
「遺言」と聞くと、どうしても“お金の話”というイメージが先行しがちです。
しかし、本来の遺言の目的は、財産の分け方だけではなく、“残された家族にどう過ごしてほしいか”を形にして伝えることにあります。
「これまでありがとう」
「自分が何を大切に生きてきたか」
「子どもたちに仲良くしてほしい」
そんな気持ちを、具体的な形で示すことができるのが遺言です。
たとえ財産が多くなくても、親の考えや願いを知っておくだけで、残された家族はずっと穏やかに過ごすことができるのです。
親が遺言を拒否したとき、どう受け止めればいいか
遺言の話を親に持ちかけると、
- 「縁起でもない」
- 「そんなの必要ない」
- 「お前は俺の死を待っているのか?」
と、強く拒否されたり、感情的な反応をされたりすることがあります。
でも、これはあなたへの拒絶ではなく、自分の死や老いに向き合うことへの恐れから出る反応です。
怖さや照れを受け止める
そんなとき大切なのは、「言い返さないこと」。正論をぶつけるよりも、まずは気持ちに寄り添うことが大事です。
たとえば、
「そうだよね、まだ元気だし、今すぐってわけじゃないんだよ」
「ただ、お父さんの気持ちをちゃんと聞いておきたいと思って」
そんなふうに伝えてみてください。
「遺言って、“誰にいくら”って話じゃなくて、お父さんの思いを形に残すことなんだよ」
と、“死の準備”ではなく、“生きた証”として伝えることができれば、心の壁が少しずつほどけていきます。
なぜ今、話しておくべきなのか?
相続は突然起こります。そして、遺言がなければ、残された家族が限られた時間の中で話し合い、結論を出さなければなりません。
元気なうちにこそ話し合いができるのは、「相手の考えを聞ける」「感謝や希望を伝えられる」という、大きなチャンスです。
遺言は、“遺された人のため”であると同時に、“自分の人生をどう締めくくるか”という、ご本人にとっての大切な選択でもあります。
まとめ|財産の多寡に関係なく、遺言は家族の安心につながる
- 「財産が少ないから遺言はいらない」と思っていても、実は遺言があるかどうかで家族の心理的負担は大きく変わる
- 遺言は“金額の話”ではなく、“想いを伝えるメッセージ”
- 親が否定したときは、感情ではなく“背景にある気持ち”を受け止めることが大切
親との関係が穏やかな今だからこそ、将来に向けて一歩踏み出すチャンスです。
「何も準備してなかったから大変だった」と後悔する前に、“親の思いを聞く”という小さな一歩から、はじめてみてはいかがでしょうか。
みのり青山では、相続や遺産分割のお悩みや手続きの進め方に関して、初回相談無料で対応しております。
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