遺言書の基礎知識|自筆証書遺言・公正証書遺言の違いとは?
遺言書の基礎知識|自筆証書遺言・公正証書遺言の違いとは?
目次
なぜ遺言書が必要なのか?
遺言書は、ご自身の死後に「財産をどう分けるか」を伝える大切な意思表示の手段です。
「うちは財産が少ないから大丈夫」「家族仲がいいから必要ない」と思っていても、相続をめぐるトラブルは誰にでも起こり得るものです。
遺言書があることで、次のようなメリットがあります。
- 財産の分け方を自分の意思で決められる
- 家族間のトラブルを防ぐ
- 相続手続きがスムーズになる
- 特定の人や団体に遺贈(寄付)できる
- 事実婚や内縁のパートナー、お世話になった人への配慮ができる
遺言書には種類がある
遺言書にはいくつかの種類がありますが、実務上よく使われているのは以下の2つです。
- 自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
- 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
それぞれの特徴を見ていきましょう。
自筆証書遺言とは?
特徴
- 遺言者本人が全文・日付・署名をすべて手書きで書く
- 費用はかからない(紙とペンだけでOK)
- 2020年以降、自筆証書遺言を法務局に預けられる制度もスタート
メリット
- 費用がかからない
- いつでも、どこでも書ける
- 誰にも見られずに作成できる
デメリット
- 内容や形式に不備があると無効になる可能性
- 相続人による改ざんや紛失のリスク
- 家庭裁判所での検認手続きが必要
公正証書遺言とは?
特徴
- 公証人が内容を確認し、公証役場で作成・保管される
- 2人以上の証人が必要(※専門家に依頼可能)
メリット
- 法的に無効になるリスクが非常に低い
- 検認が不要なため、すぐに相続手続きに使える
- 紛失や改ざんの心配がない(原本が公証役場に保管)
デメリット
- 作成に費用がかかる(数万円〜)
- 公証人との打ち合わせや証人の手配が必要
どちらを選ぶべき?
ケース別のおすすめ
状況 | おすすめの遺言書 |
---|---|
費用をかけたくない | 自筆証書遺言 |
簡易に済ませたい | 自筆証書遺言(法務局保管制度を活用) |
相続人間のトラブルを防ぎたい | 公正証書遺言 |
不動産や多額の預金などがある | 公正証書遺言 |
遺言執行人を指定したい | 公正証書遺言が確実 |
遺言書の作成は「残された家族のため」に
遺言書の目的は、自分の意思を残すことでもあり、残された人たちの負担を減らすことでもあります。
相続人同士の話し合いで揉めてしまうと、関係が壊れたり、手続きが長引いたりすることもあります。
形式やルールを守ってしっかり遺言書を残すことは、「家族に負担をかけない相続」の第一歩とも言えるでしょう。
まとめ
- 遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類がある
- 費用や手間、トラブル回避の観点で選択するのがおすすめ
- 遺言書があることで、相続手続きはスムーズになり、家族の負担も大きく減らせる